いつもの箭木です。
2015年12月に参加してきたマレーシア研修の第3弾。
マレーシアで木炭生産をされている日本人オーナーさんの会社へ行ってきた報告です。
「MALAYSIAN MOKUTAN & TRADING SDN.BHD.」
1995年設立・創業された木炭を生産する会社です。
代表の松永 陽一さんは日本の商社勤めで海外各地にも赴任され、マレーシアに赴任された際に日本への帰還命令が下されてもマレーシアの良さを知ってしまって日本に戻りたくなかったということから、マレーシアでビジネスをされるようになったそうです。
それまでの人脈や販売ルートがあったわけではなく、何のビジネスで生計を立てていくのかというところからスタートされたと聞きました。
主な取引先は日本のホームセンターやスーパーマーケットで2014年には約20,000トンの輸出実績。
↑巨大な炭焼き窯(日本の炭焼き窯とは比べものにならないくらい巨大な釜。一度に大量の炭を生産することができる)
日本のウバメガシやクヌギを原料とした木炭とは異なり、今回の炭は主にマングローブ(マングローブとは熱帯や亜熱帯の汽水域に生える木々の総称)を原料とした木炭です。
(ただ炭に適したマングローブは限定されていて保護区内のあるマングローブ28種のうち炭焼きに利用されるのは2種のみ)
マタン・マングローブ保護区という場所で政府によって厳重に管理され30年伐期の中で毎年伐採量が決まっており、
マングローブ林が政府によって管理され持続可能な森林経営がされているのは世界的にみても非常に珍しいことです。
このようなマングローブ林で伐採されたマングローブを炭焼き用に利用し、長さ1.6Mに切断したものを釜の内部で約1カ月間蒸してマングローブ炭をつくります。
松永社長の会社では、この炭を仕入れ箱詰めしたものを日本や海外へ出荷するのですが、14cmくらいにカットする作業もあり単純に箱詰めするだけの作業ではないないようでした。
他にも日本と同じように木酢液や備長炭、床下調湿木炭等も企画、出荷されており、今後は茶炭のような高価格帯の木炭にも挑戦したいとのこと。
ただ、マレーシアで環境に配慮して生産された木炭が日本では、その生産背景が全くといっていいほど伝わっておらず、単純に安価な木炭として出回っているのが残念に思います。
なお、マレーシア国内では物価及び人件費の上昇が続いており、コスト上昇分が木炭にも価格転換されるため、日本で販売される木炭価格も徐々に上がっていくだろうと伺いました。
この機会に日本で販売されている上記の木炭も生産背景を伝えられるようにする等、商品の付加価値を高める努力を関係する企業が相互協力できることを個人的には望みます。